技術課題への挑戦-Profoto Profoto プロジェクト概要へ戻る>>> 技術課題への挑戦 Profotoの要求を満たすためには、既存の設備だけでは十分ではありませんでした Profoto中国アフターサービスセンターの立ち上げでは、修理センターの運営体制やSOPを整備するだけでは、求められる品質や修理スピードを実現することはできませんでした。現場で実際に修理を始めると、従来の修理設備では対応が難しい技術的な課題が次々と見つかりました。私たちは既製品を探すだけではなく、現場の課題を分析し、自ら設備や治具を設計・改良することで、一つずつ解決していきました。この経験は、その後のAXION HUBにおける設備開発の原点となっています。 高電圧測定という最初の課題 Profoto製品には700Vを超える高電圧回路が使用されています。故障診断では通電状態で電圧を測定する必要がありますが、測定ポイントは非常に狭く、一般的なテストプローブでは測定中に短絡が発生する危険性がありました。作業者の安全だけでなく、修理中の製品を保護することも重要な課題でした。 専用プローブを自社で設計する この問題を解決するため、AXION HUBは専用測定プローブを設計しました。正極と負極の間隔を約2.5mmに固定し、絶縁処理を施した構造とすることで、測定箇所へ事前に固定できるよう設計しました。その結果、作業者が通電中にプローブを保持する必要がなくなったこと測定中の短絡リスクを大幅に低減できたこと修理品へのダメージも最小限に抑えられたことなど、安全性と作業性を同時に改善することができました。 二つ目の課題は「除じん」でした 代理店時代の修理センターでは、製品内部に蓄積した大量のほこりを屋外で除去していました。しかし、この方法には、天候に左右される作業環境が一定にならない周囲への飛散作業者の安全管理など、さまざまな課題がありました。長期的に安定した品質を維持する方法とは言えませんでした。 室内専用除じん設備の開発 そこで私たちは室内専用の除じん設備を設計しました。実際の運用を通じて改善点を確認しながら二度の改良を行い、現在も継続して使用しています。設備は完成した時点で終わるものではなく、現場で改善を繰り返しながら成熟させるという考え方は、この頃からAXION HUBの開発スタイルとなりました。 現場の課題は、自分たちで解決する この二つの課題を解決した経験は、私たちの考え方を大きく変えました。設備が存在しないのであれば、自分たちで考え、設計し、試作し、改善する。Profotoプロジェクトを通じて、AXION HUBは単に修理技術を蓄積しただけではなく、小規模ながらも現場で必要とされる設備を自ら開発する力を身につけていきました。 QC設備も自社で改善する 品質確認でも同様でした。修理完了後には、実際の撮影環境を想定した発光試験を実施しています。この試験では、多数回の発光確認が必要になりますが、人が一回ずつ数える方法では時間もかかり、数え間違いも発生します。そこでAXION HUBは、自社で発光回数自動計数装置を開発しました。これにより、人的ミスの低減作業時間の短縮QCの再現性向上を同時に実現しました。 生産終了部品への挑戦 Profotoプロジェクトの運営を続けるなかで、もう一つの課題が見えてきました。一部の旧製品では、純正交換部品の生産が終了し、メーカー在庫もすでに供給を終了していました。製品本体は十分に使用できる状態であっても、一つの樹脂部品が入手できないために修理できなくなるケースが発生し始めたのです。この問題は、一件の修理だけではなく、製品ライフサイクル全体に関わる課題でした。 3Dプリンターだけでは解決できませんでした 2021年、AXION HUBは生産終了部品への対応を目的として、3Dプリンティング技術の研究を開始しました。しかし、一般的な3Dプリンターで直接製作した樹脂部品は、試作品としては十分であっても、実際の修理部品として使用するには強度や靭性が不足していました。特にProfoto製リモコンの外装部品は、ボタン部分を含む構造となっており、繰り返し操作に耐えられる十分な強度と靭性が求められます。この技術を用いて、Profoto製リモコンの外装部品をはじめとする生産終了部品を小ロットで製作しました。 製造方法そのものを見直す そこで私たちは、3Dプリンターを最終製品の製造機ではなく、「金型を短期間で製作するための開発ツール」として活用する方法へ切り替えました。3Dプリントした原型からシリコンモールドを製作し、その金型を用いて、高強度・高靭性の樹脂部品を成形する製造方法を採用しました。この方法により、従来の3Dプリントでは難しかった機械的強度と耐久性を確保しながら、小ロットでの部品製造が可能になりました。 小ロット生産によって修理を継続する この技術を用いて、Profoto製TTL リモコン用外装部品をはじめとする複数の生産終了部品を製作しました。少量生産ではありますが、実際の修理に使用できる品質を実現し、純正部品が供給終了となった製品についても、お客様へ修理サービスを継続して提供することができました。これは大量生産を目的としたものではありません。必要な部品を、必要な数量だけ製作することで、製品寿命を延ばし、お客様が長く製品を使い続けられる環境を支える取り組みです。 上図のTTLリモコン上ケースは、3Dプリンティングを用いて製作した簡易シリコン型から成形した部品です。表面の質感は純正部品とわずかに異なりますが、機械的強度と耐久性を重視して開発しました。実際の運用において長期間にわたり信頼性が確認されており、本部品に起因する再修理(Repeat Repair)は現在まで一件も発生していません。 技術開発から運営改善へ 技術課題が一段落した後、改善の中心は設備から運営へと移っていきました。2023年から2024年にかけて、AXION HUBはアフターサービス管理システムを大きく更新しました。特に重要だった改善は、故障現象・顧客対応表現・修理結果表現の標準化標準化された故障情報に基づく故障診断支援機能の二つです。修理工程を個人の経験だけに依存するのではなく、システムによって支援する仕組みへと進化させました。 技術開発とは、「現場を理解すること」 Profotoプロジェクトで経験した技術開発は、大規模な研究開発ではありません。重要なのは、現場で毎日発生する小さな問題を見逃さず、原因を分析し、改善を積み重ねることでした。専用測定プローブ、室内除じん設備、発光回数自動計数装置、そして管理システム。これらはすべて、現場で実際に働くエンジニアが抱える課題から生まれたものです。AXION HUBは、設備を購入するだけではなく、必要であれば自ら設計・改善するという姿勢を、現在の運営にも受け継いでいます。 Profoto プロジェクト概要へ戻る>>>